ミッドレンジCADと呼ばれるものはWindowsネイティブかつ
PC(パソコン)で動作可能な3次元ソリッドCADを一般的にい
います。モデリング機能に特化し、特に初心者でも使いやす
い操作性を売りにしています。解析・CAM等、製造していくた
めに必要な一連のモジュールを外部のソフト会社にまかせ、
統合環境を用意せず、モデリング・アッセンブルに限定して
機能強化していっています。一般的にはモデリングカーネル
をOEM供給してもらい各CADごとにオリジナリティーを出して
います。カーネルとしてはParasolid/ACIS/Designbaseが主
モデリング能力としてはハイエンドCADに比べてまだまだ
劣っています。しかし、使い易さ・とっつきやすさはよく練られ
ており3次元の敷居を大きく下げました。
←各ベンダーへのリンクが張っています。 )

Solid Works (日本語よみ:ソリッドワークス)
ダッソーグループのミッドレンジCADです。もともとPro/E
を開発したスタッフがスピンアウトして作ったCADのようで
Pro/Eからの乗り換えを目指し機能強化しているようです。
基本的にはソリッドモデリング機能中心で、機構設計では
かなりのユーザー人口です。ミッドレンジというカテゴリーを
作ったキラーソフトで、後にSolidEdgeが追随してきました。
(発売時期はSolidEdgeのほうが早かったようです。)
最近になって2000というバージョンになりサーフェス機能も
盛り込まれてきましたが、家電製品のような複雑な曲面作
成はまだまだ無理なようです。モデリングカーネルとしてパ
ラソリッドを採用しており、カーネルの進歩によってより高度
なサーフェス機能が実現しそうです。デザイナーとしてはか
なり工夫をしないと使えるCADではなさそうですが、まあ、
形状を限定して考えればいけるかもしれません。ただ、カー
ネルの制約上作成不可なフィレットなどまだまだあり、これ
からの発展が
期待されます。設計者と工業デザイナーが一
緒になって企画・モデリングしていくようなモノづくりのスタイ
ルができれば一番使いやすそうな機能を持っています。
デザイナー・設計者向けパッケージ価格:約100万円
年間保守料:約20万円

Solid Edge (日本語よみ:ソリッドエッジ)

ユニグラフィックス社が開発しているミッドレンジCADです。
これは元々インターグラフ社が開発しカーネルもACISでしたが
現在はUGと同じパラソリッドになっています。 上位CADのユ
ニグラフィックスとの連携を強化してきており、機構設計はミッ
ドレンジのエッジで、意匠デザイン・解析・試作・金型はUGで
という図式が見えてきます。こちらは、ソリッドワークスと違い
サーフェス機能の搭載はあまり積極的ではないようです。サ
ーフェス機能強化よりは2次元図面機能アップ動的干渉チェッ
クなどあくまでも機構設計が中心のCADです。デザイン面では
多くの制約がありますのでこれ一本ですべて意匠をつくるの
は無理っぽいですが、ソリッドワークス同様、ある制約の元で
デザインしていけば何とかなるかもしれません。

幾何学的なデザインであれば、モデリングはわかりやすいイ
ンターフェイスですので使いやすいです。また、無償で試せる
お験し版ソフトSolid Edge Originが用意されています。

デザイナー・設計者向けパッケージ価格:約110万円
年間保守料:約20万円


Pro/DESKTOP (日本語よみ:プロデスクトップ)
パラメトリックテクノロジー社が買収して手に入れたミッドレ
ンジCADです。日本語化が遅れたせいか、ブームのミッドレン
ジCADの中ではマイナーな存在です。そのぶん価格を安くして
いますが日本のユーザーはほとんどいないと思います。周りで
もウワサをほとんど聞きません。完全なソリッド仕様でサーフェス
機能はまったくないようです。上位のPro/Eが強力すぎてあま
り存在感がありません。デザイナーの選択肢には入らない仕様
です。
デザイナー・設計者向けパッケージ価格:約60万円
年間保守料:
約15万円

I-DEAS Artisan(日本語よみ:アイデアス・アルチザン)
SDRC社が開発しているCADです。私が普段つかっている
CADです。 I-DEASには2系列プロダクトラインがありハイエンド
をマスターシリーズ。ミッドレンジをアルチザンシリーズと名乗
っています。 内容の違いはかつてはあったのですが、今では
チーム設計用ライブラリが1個限定がアルチザン
、無制限がマ
スターとなっています。最新版のI-DEAS8ではアルチザンでも
解析モジュール・CAMなどマスターと同じモノがモジュール追
加できます。デザイナーにとってはあまり関係はないですが、
将来使うかもしれません。I-DEASは元々解析用として発展し
てきたせいもあり、 デザインで使うには結構大変でした。特に
サーフェス・カーブ・ ブレンドが他のハイエンドに比べ弱いです。
しかし、4年前にCAMANDというCAMを2年前にサフェーサーと
いうリバースエンジニア用サーフェスCADを買収 したのでバー
ジョンアップのたびに使いやすくなっては来ています。一刻もは
やくクラスA(曲率連続)サーフェスを自由にハンドリングできる
CADに成長 してほしいです。
デザイナー向けモジュール合計価格:約250万円
年間保守料:約48万円

→次のページ