ラピッドプロトタイプ
3次元CADを使うようになってから、とにかく実際の試作モデル
を早く作りたい焦燥にかられます。画面のなかのバーチャルな
モデルでは欲求不満になるからです。
ラピッドとは早く、プロトタイプは試作ですので直訳すれば
「早くできる試作モデル」となります。

話はそれますが、つい10年ぐらいまでは印刷物は我々デザイ
ナーが「版下」という印画紙を張りつけた台紙をもとに作られて
いました。写植という専門職の人に対して文字をタイピングして
もらい印画紙に紙用ボンドでくっつけていたのです。くっつけ方
がへたくそだと出来上がったカタログやポスターの文字が傾いて
いたりしました。

今では、当たり前のようにMACでデータ作成し、データで納品
する環境ですがほんの10年前までこんな感じでした。現在の
カラープリンタの性能は目覚しくデジタル色校正として十分満足
に使えます。(色校正とは実際の印刷物の色をシュミレーション
して問題ないかを確認することです。)

今まで版下を出してから、4・5日近くかかっていたことがほんの

数分に短縮されたのです。デザイナーはその分何通りものデザ
インパターンを自問自答し、納得した結果を最終デザインとして
提案します。

それにかかるコストもほんのわずかなものになってきました。
このようなことが早く工業デザインの世界にも起こってくれる
ことを期待しています。印刷デザインの世界に出現したデジタル
データの出力センターのようなサービスを一刻も早く作り、
3次元デジタルデータを早く安く造形してくれるところが必要です。

今までの試作モデルのように人が介在しないほうが良いと思い
ます。上手いデジタルデータはキレイに、下手なデジタルデータ
はキタナく出力されればいいのです。最初から上手い人などい
ません。失敗のなかから原因を見つけられるほうが重要です。
実際の金型を彫る際に問題になる部分を見つけられるような
ラピッドプロトタイプが出てくるのが理想だと考えます。