デザイナー向けCADと呼ばれるものは曲面サーフェス作
成機能が充実したサーフェスCADのことを一般的にいいま
す。最近ではソリッドタイプとのハイブリッド型もあるようで
す。古くは自動車会社などの社内スタイリングCADがその
起源になると思います。値段もピンキリあり、上は点群
データからの面張りをサポートする1000万円近いものから
下は、20万円代まで幅があります。私もデザイナーですの
で本来この範疇から選ぶ予定でしたが、どのCADも寸法
を忠実に守りながらモデリングすることが不得意そうでした。
工業デザインをするうえで、設計者との寸法のやりとりは
必須です。高額なものは寸法を比較的きっちり守れるよう
ですが、コストパフォーマンスとしてはとても購入できませ
んでした。これからは、寸法駆動できかつソリッドデータに
確実に渡せるサーフェスCADが出てきてほしいものです。
ただ設計環境としてハイエンド・ミッドレンジのソリッドCAD
が主流ですので、デザイナー向けのサーフェスCADもこれ
らのアドイン・プラグインとして拡張できるように設計されれ
ばデザイナーとしてありがたいですね。
←各ベンダーへのリンクが張っています。 )

高価格商品:

Alias Studio (日本語よみ:エイリアススタジオ)

加 エイリアスウェーブフロント社のサーフェスCADです。
モデリングカーネルはオリジナルで開発しており自動車
会社などのデザイン部門に大量導入されています。元々
シリコングラフィック製ワークステーション専用で動いて
いましたが、時代の要請で最新版はWindowsNTでも使
えるようになりました。レンダリングの美しさは目をみはる
ものがあります。スプラインモデリングのやりやすさは、
デザイナーが2次元環境で慣れ親しんだAdobeイラストレ
ータにも通じ気持ちがよいものです。ただ、前バージョン
まではシェーディング表示に時間がかかりあまり快適で
はなかったようです。機能的には現在考えられるほとんど
の面張りができイメージを作成するには最適の環境のよ
うです。
しかし、寸法を忠実に守りながらのモデリングは
やはり難しいようです。それとサーフェスが高次のものま
でサポートされているせいか作成したデータが重たいのも
後工程で使う際に問題になるようです。最初から最後まで
これ一本でモデリングし続けるより、途中でソリッド環境に
渡したほうが、サーフェス面の稜線が開口するなどの問題
が解決されるので運用のしかたに工夫がいりそうです。
ただ繰り返しますがレンダリング画像の綺麗さはうらやま
しい限りです。

デザイナー向けパッケージ価格:約400万円
年間保守料:約80万円


FRESDAM (日本語よみ:フレスダム)

日 ソニー社のサーフェスCADです。 元々社内デザイン
CADとして開発したものを外販もするようになったようです。
実際にオペレーションしたことがないので何とも言えませ
んが使用環境はよさそうです。サーフェスCADのなかでは
寸法に対しての精度も保証されている感じです。いろんな
モジュールがありCAMまであるようです。ただ価格はやは
りそれなりに高額です。理想を言えば価格が今の5分の1
になり、汎用ソリッドカーネルParasolidなどが組み込め、作
成したデータがパラソリッドで吐き出せればめちゃくちゃ売
れそうです。レンダリングも別モジュールのようなのでその
あたりの意図は理解できません。今現在では綺麗な絵を
描かせるモジュールならよくて20万円ぐらいでないと競争
力はなさそうです。最近まわりでちらほら導入されている
ようですが、実際のモノづくりのなかでどのように運用して
いくのか、これも工夫がいりそうです。
デザイナー向けパッケージ価格:約500万円
年間保守料:約60万円


Design Spinneker (日本語よみ:デザインスピンネーカー)

日 エヌケーエクサ社のサーフェス&ソリッドCADです。 デ
ザイン部分、特に樹脂の外装品を製造するための機能を
充実させてきているようです。これもモジュールごとに分け
られているようですべてそろえると結構な値段です。作った
サーフェスデータをソリッド化できるのは現実的な方法なの
でこれ一本で外装設計はできそうな感じです。ただ、実際の
製品設計では、内部機構は別CADで行われるでしょうから
そちらへのデータの交換がどの程度保証されるかが課題の
ように思われます。Pro/E、I-DEASなどへのダイレクトコンバ
ータは用意されているようですが、CADによって曲面の定義
方法も変わりますし、勝手に形状が修正されてしまうようで
は問題が発生します。変換精度の出来が最終成果品に影
響しますのでコンバータの確認作業が必要かも知れません。
手書きスケッチから3次元化するためのモジュールなど、独
自の切り口で製品を充実させているのは面白い試みだと
思います。

デザイナー向けパッケージ価格:約500万円
年間保守料:不明

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