データ交換
3次元CADを使ってデザインしたモデルは、理想を言えば同じCAD
で設計してもらうほうがデータの不具合が最小ですみます。もちろ
ん同じCADでも元データに問題があっては後工程で使えませんが
ここでは問題のないデータをデザイナーが作れる場合で話を進め
ます。

私は普段使っているI-DEAS Artisan4で外部データかき出しする
際はIGESを使っています。多分、ほとんどの方がこのIGESを使
ってデータの交換をされていると思います。IGESは中身のつまった
情報ではなく、表面のサーフェスデータです。今までソリッドCADで
モデリングを進めてきても、この形式に変換した瞬間データの持ち
方が変わります。

サーフェスデータは面と面のつなぎ合わせで成立しますのでこの
境界線が問題を起こす場合がでます。ソリッドCADからかき出した
IGESデータは比較的、安定した場合が多いようですが精度を管理
しないと問題がおきます。CADはそれぞれ精度を管理できるように
なっていますので、データ交換が必要な場合は必ず先方と精度を
一致させておきます。ちなみにI-DEASのデフォルト精度は0.01で
す。
0.01より小さくすることもできますが履歴の再生等I-DEASを快
適に使うには0.01が最適(限界)ではないでしょうか。

「精度をあわせれば必ず問題がでない。」というわけではありませ
ん。一番重要なの書き出す元データの質です。レンダリングなどで
CGソフトにIGESデータを書き出す分には多少かきだしたサーフェス
のエッジが開いたりしていても問題はないですが、NC試作などで
試作やさんにデータを出したりする際はこうは行きません。

問題のあるサーフェスデータですと、試作やさんの方でデータの
修正をしなければなりません。手間もかかりますし、第一自分の
意図した形でなくなる可能性があります。これでは、2次元の試
作図面を出すのと変わりありません。(試作やさんにしてみれば
下手な3次元より上手でわかりやすい図面をほしがるでしょう。)

これが金型ですと問題はもっと深刻です。ケースが上下ではめあ
わない・内蔵部品がはいらない・干渉する・抜きテーパがかかって
ない等々時間短縮などできるはずがありません。

3次元でモデリングするのは想像以上に大変です。2次元ソフトで
絵を描く何倍もの時間を費やします。ですから、せっかく作る3次
元データは注意深く作る必要があります。モデリングを進めるうち
3次元形状が成り立たなくなる場合もあるでしょう。しかし、必ず

原因があるのでその部分を一つ一つ検証していきましょう。

具体例は、日経CG・日経デジタルエンジニアリングに掲載されて
いたりしますので、ここでは出しませんが世の中にはどんなCAD
にもっていってもまったく問題なくシェル化(薄肉化)や金型の
直彫りに使えるデータを作成できる技術者がいます。神の手を
もった男「ゴッドハンド」とも呼ばれています。つまりその人のつく
るデータからかき出したIGESはデータ交換した際も問題がないの
です。