●データ交換 3次元CADを使ってデザインしたモデルは、理想を言えば同じCAD で設計してもらうほうがデータの不具合が最小ですみます。もちろ ん同じCADでも元データに問題があっては後工程で使えませんが ここでは問題のないデータをデザイナーが作れる場合で話を進め ます。 私は普段使っているI-DEAS Artisan4で外部データかき出しする 際はIGESを使っています。多分、ほとんどの方がこのIGESを使 ってデータの交換をされていると思います。IGESは中身のつまった 情報ではなく、表面のサーフェスデータです。今までソリッドCADで モデリングを進めてきても、この形式に変換した瞬間データの持ち 方が変わります。 サーフェスデータは面と面のつなぎ合わせで成立しますのでこの 境界線が問題を起こす場合がでます。ソリッドCADからかき出した IGESデータは比較的、安定した場合が多いようですが精度を管理 しないと問題がおきます。CADはそれぞれ精度を管理できるように なっていますので、データ交換が必要な場合は必ず先方と精度を 一致させておきます。ちなみにI-DEASのデフォルト精度は0.01で す。0.01より小さくすることもできますが履歴の再生等I-DEASを快 適に使うには0.01が最適(限界)ではないでしょうか。 「精度をあわせれば必ず問題がでない。」というわけではありませ ん。一番重要なの書き出す元データの質です。レンダリングなどで CGソフトにIGESデータを書き出す分には多少かきだしたサーフェス のエッジが開いたりしていても問題はないですが、NC試作などで 試作やさんにデータを出したりする際はこうは行きません。 問題のあるサーフェスデータですと、試作やさんの方でデータの 修正をしなければなりません。手間もかかりますし、第一自分の 意図した形でなくなる可能性があります。これでは、2次元の試 作図面を出すのと変わりありません。(試作やさんにしてみれば 下手な3次元より上手でわかりやすい図面をほしがるでしょう。) これが金型ですと問題はもっと深刻です。ケースが上下ではめあ わない・内蔵部品がはいらない・干渉する・抜きテーパがかかって ない等々時間短縮などできるはずがありません。 3次元でモデリングするのは想像以上に大変です。2次元ソフトで 絵を描く何倍もの時間を費やします。ですから、せっかく作る3次 元データは注意深く作る必要があります。モデリングを進めるうち 3次元形状が成り立たなくなる場合もあるでしょう。しかし、必ず 原因があるのでその部分を一つ一つ検証していきましょう。 具体例は、日経CG・日経デジタルエンジニアリングに掲載されて いたりしますので、ここでは出しませんが世の中にはどんなCAD にもっていってもまったく問題なくシェル化(薄肉化)や金型の 直彫りに使えるデータを作成できる技術者がいます。神の手を もった男「ゴッドハンド」とも呼ばれています。つまりその人のつく るデータからかき出したIGESはデータ交換した際も問題がないの です。 |