2次元図面化
3次元CADを使うまでは、デザインした結果は必ず2次元の
意匠図という形で客先に提出していました。実はこれが
一番大変な作業だったと思います。図面化しやすい形状
ならともかく、稜線が出ないような形状だと断面をとにかく
切って近似の円弧に変換しなければいけません。

切った断面はあくまで参考で、試作モデルを基準に考えて
ください。と、いったところでやはり寸法の提示を求められます。

現実には、デザインにかけた時間と同じぐらい図面を引くこと
が必要でした。このときの心境は「あーなんでこんなわかりに
くい形にしたんやろ。もうちょっと単純な面にしたら良かったな」
というような思いです。

デザイン思考より、後工程でのやり易さをとってデザインした
ものもありました。
(デザイナーとしては良くないと思いますが、時間との戦いが
ありやむなく・・・という感じです。)

しかし、3次元CADのデータが生かせる現在では、このあたり
のストレスが少なくなってきました。
いまだに、わかりにくい面の断面をいくつも切りますが、CAD
にまかせて描いています。125.565などの割り切れない数字
ばかりですが、これはこれで正しいのだからと設計者には
渡しています。

受けた設計者は多分いやがっていると思いますが、そのとき
には3次元CADの導入を進めています。2次元環境で設計して
いたら、このあたりのストレスはデザイナーも意匠設計者も同
じだろうとの思いからです。

2次元図面は当分なくならないと思っています。3次元ビューア
ーが無料で、使いやすくなればデザイナーが描く意匠図面はな
くなるかもしれませんが、モノづくりに必要な図面はなくならない
でしょう。紙メディアの新聞がなくなればその時はわかりません
が・・・。